黄粱一炊の夢記

おじさん(妻の叔父)が本を書いた。「黄粱(こうりょう)一炊の夢記」田中寛司著。自費出版で、親族・知己だけに配布されたもので書店での販売はない。興味津々で軽い気持ちで読み始めたが読み応えのある内容で、つい次々とページを捲ってしまい3時間ぐらいで一気に読み終えてしまった。私の生まれる前の出来事なのに、目の前に情景が浮かんでくるような描写が続き、物凄く面白い。内容は、戦争時に中国大陸に徴兵された2年弱の軍隊での体験記です。戦争での”生き死に”の場面は少ないですが、当時の軍隊の生活、訓練、幹部候補生試験、処世、人との巡り合い、運不運、敗戦後の中国大陸からの引き上げがドラマチックに綴られていて、昔の出来事なのに、よくこれだけのことを覚えていたものだと感心いたしました。文体は無駄な装飾句のない簡潔で男っぽいもので非常に読みやすいものでした。文才豊かな田中寛司さんの「第二弾」が待たれます。